飲食業の店長・スタッフが残業代を請求する際の注意点

飲食業の店舗では、特に店長など、正社員の現場スタッフに業務負荷がかかってしまいがちです。

中には労働時間に見合った賃金が支払われていないケースもありますので、ご自身の労働時間をしっかり把握して、会社に対して正当な残業代請求を行いましょう。

飲食業の残業代に関する法律上の問題点

飲食業の店舗は、明確に営業時間が決まっていることや、店員の大半がパート・アルバイトなどの非正規社員であるなどの特徴があります。

このような構造を背景として、飲食業の店舗では、残業代を含む賃金の支払について、以下の労基法上の問題点が生じているケースが散見されます。

開店準備時間・閉店作業時間に対する賃金の不支給

店舗によっては、営業時間中の勤務に対してのみ賃金を支給し、開店前や閉店後の労働に対しては支給しないという取扱いをしているケースがあるようです。

しかし、店舗の営業時間にかかわらず、店長・スタッフが会社の指揮命令に基づいて労働をしていると認められる時間帯については、すべて賃金が発生します。

したがって、開店準備時間や閉店作業時間について、賃金が全く発生していない場合には、未払残業代が発生している可能性が高いといえるでしょう。

店長・マネージャーなどの長時間労働

飲食業の店長・マネージャーなどの現場責任者は、時給制で働くパート・アルバイトの担当範囲をもカバー・フォローすることが求められる傾向にあります。ただでさえ自身が行うべき業務がある中で、他のスタッフの業務にも対応しなければならないとすれば、必然的に長時間労働へと繋がります。

こうした店長・マネージャーなどの長時間労働が生じている場合、残業代の計算に抜けや漏れが発生しているケースが非常に多いので、注意深く検討することが必要です。

「名ばかり管理職」の問題

店長・マネージャーなどの現場責任者については、いわゆる「名ばかり管理職」の問題も存在します。労働基準法41条2号によれば、「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)に対しては、時間外労働に対する残業代を支給する必要がありません。

しかし、労働者が「管理監督者」に該当するには、経営者と一体的な立場と認められるような権限や待遇を与えられていることが必要と解されています。

飲食業の店長・マネージャーなどは、通常単なる現場責任者に過ぎませんし、待遇についても、多くの場合一般のスタッフと大差がありませんので、管理監督者に該当するケースはほとんどないと考えられます。

権限という点について裁判例では、レストランの店長であっても「店長だけでなくコックやウェイターの業務もしていた」ことを理由に(レストラン「ビュッフェ」事件・大阪地判昭和61・7・30労判481・51)、また、ファーストフード店の店長も「店舗運営において重要な職責を負っているが、店長の職務、権限は店舗内の事項に限られる」(日本マクドナルド事件・東京地判平成20・1・28労判953・10)としていずれも統括的な立場にはないと判断されています。

それにもかかわらず、管理監督者に当たることを理由として、店長・マネージャーに対して残業代を支給しない店舗があるので、要注意です。

飲食業の残業代請求に関するチェックリスト

上記で解説した内容をまとめると、以下のチェックポイントに一つでも当てはまれば、飲食業の店長・スタッフが、会社に対して未払残業代を請求できる可能性は高いと考えられます。

  • 開店準備時間や閉店作業時間が労働時間として扱われておらず、当該時間分の賃金が支給されていない。
  • 長時間労働を行っているにもかかわらず、労働時間の把握が十分に行われていない。
  • 店長やマネージャーなどの現場責任者に対して、残業代が一切支給されていない。

飲食業の残業代請求には適切な証拠収集が重要

飲食業で働く店長・スタッフが、会社に対して残業代を請求するには、残業の事実を証明する証拠を示して、会社に支払義務を認めさせることが必要です。残業に関する有力な証拠を提示することができれば、仮に裁判になったとしても、労働者側にとって有利な結果を得られる可能性が高くなります。

そのため、交渉段階においても、労働者側にとって有利な条件を会社側から引き出せる可能性が高まるでしょう。

飲食業で働く店長・スタッフが集めやすい残業代請求の証拠とは?

飲食業で働く店長・スタッフの残業を証明する有力な証拠としては、以下のものが考えられます。

①タイムカードの打刻記録

飲食業の店舗において、残業時間を把握するためのもっとも基本的なツールは「タイムカード」です。日頃から、出退勤の際にタイムリーな打刻を心がけておきましょう。

②セキュリティカードの入館記録

上司の指示などにより、タイムカードを打刻するタイミングを不当にずらされてしまったようなケースでは、店舗がある建物に入館するためのセキュリティカードの記録も、残業の有力な証拠になり得ます。

弁護士を通じて、会社や建物の管理会社に対して情報開示を請求すると良いでしょう。

③スマートフォンの位置情報

スマートフォンの位置情報履歴を利用すれば、ご自身がその時間に店舗にいたことを証明することができます。残業をした日に、GPS機能をオンにした上で、店舗内の写真を撮影するなどの方法が有効です。

④残業に関するメモ書き

単なるメモ書きであっても、残業の様子が具体的に記載してあれば、残業の証拠として機能する場合があります。具体的な作業内容やかかった時間などを、詳細に記録しておきましょう。

残業代請求は当事務所にお任せください

飲食業で働く店長などの正社員は、非正規で働くパート・アルバイトのカバー業務などが負担となって、長時間労働を強いられるケースがよく見られます。

また、店長などの肩書だけを理由として「管理監督者」として取扱われ、残業代が支給されない違法事例が存在することも事実です。長時間労働に対して正当な残業代が支払われていない、あるいは管理監督者として取扱われ、残業代が全く支払われていないという飲食業の店長・スタッフの方は、一度当事務所にご相談ください。

当事務所は、初回ご相談30分無料、かつ着手金0円の完全成功報酬制を採用しており、費用面からも大変ご利用していただきやすくなっております。ご相談をいただければ、未払残業代の有無に関する法的検討・証拠収集・会社との支払交渉など、弁護士が様々な観点から依頼者様を幅広くサポートいたします。

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