未払残業代は労働基準監督署と弁護士のどちらに相談すべきなのか

未払残業代がある場合、労働者にとって切実な問題は、使用者との交渉や法的手続などで、残業代が得られるのか、もし話合いがつかなければ、どのような解決策があるのかということだと思われます。未払残業代を解決する手続には、労働基準監督署と弁護士によることが考えられます。

では、未払残業代は労働基準監督署と弁護士のどちらに相談すべきなのでしょうか。

未払残業代問題を相談するには、一般的に、弁護士の方が望ましいといわれています。これは、労働基準監督署の権限と弁護士の業務の違いがあるからです。労働基準監督署は主に労働基準法違反の取り締まりを行う機関で、それに対し、弁護士は依頼者(労働者)に代わって法的権利の行使をすることができるからです。

以下では、労働基準監督署の権限、弁護士の業務、未払残業代問題は弁護士に相談すべき理由などを通じて、未払残業代請求を弁護士に相談すべき理由について、説明します。

なお、「労働基準監督署の権限」の項における条文は労働基準法の条文を意味し、労働基準法は「労基法」と略記します。

労働基準監督署の権限

労働基準監督官の権限

労働基準監督署には、「労働基準監督官」という特別の職員がいます。この労働基準監督官は、労基法や労働安全衛生法違反などの罪について「刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行」うと規定されています(102条、労働安全衛生法92条など)。

つまり、労働基準監督官は、労働基準法等の法律に違反する事件について、逮捕、捜索、差押え等、一般の刑事事件での警察官のような役割を持っているのです。

未払残業代問題での対応

未払残業代問題は、端的に「賃金の不払い」であり、これは犯罪です(労基法119条1項1号、37条1項)。

ですから、労働基準監督署に、労働者が申告した上、労基署の調査で違反の事実が明らかになれば、是正勧告の対象になります。是正勧告自体には強制力があるわけではありませんが、「払わなければ刑事事件になりかねませんよ」という警告の意味があります。是正勧告によって、使用者が未払残業代を支払われれば、未払残業代の問題は解決することになります。

また、残業代の未払については、より直接的に刑事処罰を求める意思表示である「告訴」も可能です。告訴した場合、使用者が示談目的で、残業代を支払ってくる場合もあります。いずれにしても、労働基準監督署への申告や告訴は行政指導や刑事処罰を求めるものであり、使用者はこういった処分を逃れるために支払を持ちかけてくるに過ぎません。

もし、労働基準監督署が是正勧告等をしても、使用者側が開き直ってしまえば、労働基準監督署が直接未払残業代の回収をしてくれるわけではなく、根本的な解決には至らないのです。

弁護士の業務

業務内容

弁護士法という法律では、弁護士は、「訴訟事件…(中略)…その他一般の法律事務を行うこと」とされています(弁護士法3条1項)。

これは、弁護士は法律問題、すなわち人と人との間のトラブルを法律的に解決する業務を取り扱うことができるという意味です。法律上の例外(認定司法書士等)がある場合を除き、こうした業務を弁護士以外の者が行うことは禁止されており、違反すれば犯罪となります(弁護士法72条)。

未払残業代問題での対応

弁護士は、未払残業代問題に関するあらゆる業務を、ご本人に代理して行うことができます。

例えば、使用者に対して内容証明郵便で未払残業代を請求するなどといった使用者との示談交渉のほか、法的手続としての「労働審判手続」、「裁判(民事訴訟)」などの業務を代理して行うことができるのです。そして、判決で支払が命じられても使用者が未払残業代を支払わない場合は、使用者の預金を差し押さえたり、財産を強制的に売却したりして回収することもできます(これを「民事執行」といいます)。

未払残業代問題は弁護士に相談すべき理由

労働者が使用者との示談交渉によって未払残業代を得ることができれば、問題は解決することになりますが、それは容易なことではありません。

労働者にとって使用者との示談交渉は、法的な知識や交渉のノウハウはもちろん、ただ使用者と話し合うだけでも非常に大きな精神的な負担を伴います。示談交渉の相手方は、使用者の社長その人か人事等の担当者、或いは使用者の代理人弁護士であることが通常ですので、一般に交渉力が強いとは言えない労働者が示談交渉をすることは、大変難しいことです。

そして、もし話合いがつかなければ、様々な法的手続を行う必要がある場合もありますので、そのようなことも見通しておかなければなりません。

労働基準監督署は、上記のとおり、労働基準法等に違反する者を取り締まることが本来の業務であり、個別の労働者のために未払残業代の問題を解決するための機関ではありません。

つまり、労働者にとって未払残業代問題を解決するには、使用者との示談交渉、さらに法的手続が必要になりますが、弁護士のみがそれらの全てを行うことができるのです。

そして、弁護士は、使用者との示談交渉や法的手続きをとるにあたって、未払残業代を裏付ける証拠、例えば、タイムカード、パソコンの使用時間の記録、メールや日記などを揃えたり、未払残業代の金額を計算することにも精通しています。

このように、弁護士であれば、労働者の代わりに、使用者との示談交渉や裁判所への手続を進めることができます。

まとめ

未払残業代は、使用者が任意の支払いに応じなければ、法的手続で解決することになります。

そのための相談相手は、労働基準監督署ではなく弁護士が望ましいと言えます(もちろん、弁護士の判断で労働基準監督署に相談・告訴等をすることもあります)。示談交渉や法的手続は、労働者本人でも可能ですが、未払残業代の請求には、法律知識だけでなく、どのような裏付け証拠が必要か、未払残業代の計算はどのようにするかなど、残業代特有の専門的な知識も必要となりますので、弁護士のサポートがあった方が、より解決に近くなります。

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