運送業・配送業のドライバーは残業代を請求できる?

過酷な労働環境で長時間労働を強いられる運送業・配送業のドライバーには、労務に見合った対価としての残業代が支払われていないケースもよく見られます。

しかし労働基準法上、長時間労働をする運送業や配送業のドライバーが、残業代を請求できる可能性はかなり高いといえます。もし残業代が適切に支払われていない場合には、弁護士に相談して、労働者としての正当な権利に基づく請求を行ってください。

この記事では、運送業や配送業に従事するドライバーが、勤務先の会社に対して残業代を請求できるかどうかについて解説します。

運送業・配送業の残業代に関する法律上の問題点

運送業・配送業のドライバーは、オフィス勤務の会社員などとは異なり、不規則な時間帯で労働を行います。

この点が影響して、残業代を含む賃金の支払について、労働基準法との関係で以下の問題点が発生しているケースがよく見られます。

長時間労働の常態化

運送業・配送業のドライバーの労働時間は、1日十数時間といった非常に長時間に及ぶことも珍しくありません。

労働基準法上、1日の労働時間は原則として「1日8時間、1週間40時間」が上限とされています(法定労働時間。同法32条1項、2項)が、労使間で「36協定」が締結されていれば、上記の上限時間を超えて労働者に労働させることが認めれられます(同法36条1項)。

そして、法定労働時間を超える労働時間については「時間外労働」として、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金を支払わなければなりません(同法37条1項本文)。

さらに、大企業に勤める労働者が1か月当たり60時間を超える時間外労働をした場合、60時間超の部分については、通常の賃金に対して50%以上の割増賃金が発生します(同項但し書き)。なお、この点については、大企業のみならず中小企業についても2023年4月1日から同様の割増率による割増賃金が発生することになります(労基法138条参照)。

もし法定労働時間を超えて働いているのに、その分の残業代が支払われていない場合には、未払残業代が発生している可能性が高いでしょう。

待機時間を労働時間にカウントしない

配送を終えてから次の配送へ向かうまでの間など、待機時間を全て休憩時間として取り扱い、労働時間にカウントしないケースもあるようです。

しかし、実際に運転をしていない時間であっても、会社からの指示にすぐに対応できるように待機している時間は、労働時間として賃金の支払対象になります(田口運送事件・横浜地相模原支判平成26・4・24労判1178・86参照)。

もし待機時間分の賃金が支払われていない場合には、未払残業代が発生している可能性が高いと考えられます。

歩合給制を理由に残業代を支払わない

運送業・配送業のドライバーには、配送本数などに応じた歩合給制が採用されていることが多い実態があります。

この「歩合給制」を理由として、ドライバーに対して残業代を全く支給しないという会社も存在します。こうした会社がよく用いる論法は、「歩合給の中に残業代が含まれているのだから、追加で残業代を支払う必要はない」というものです。

しかし最高裁判例によると、タクシー運転手の賃金制度として歩合給制度がとられており、歩合給額に時間外労働等の割増賃金が含まれているかが争われた事案について、当該歩合給が「時間外及び深夜の労働を行った場合においても増額されるものでもなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないものであったこと」を理由として、当該歩合給が労基法37条所定の割増賃金として支払われたものとは認められないとされています(高知県観光事件・最二小判平成6・6・13労判653・12)。

当該判例からも分かるとおり、歩合給のうち、どの部分(金額)が残業代に相当するのかが判別できなければ、歩合給をもって残業代を支払ったものとすることはできないのです。

そのため、会社が歩合給を理由に残業代を支払わないと主張してきた場合は、歩合給の内訳がきちんと示されているかを確認しましょう。

運送業・配送業の残業代請求に関するチェックリスト

上記で解説した内容を踏まえると、以下のチェックポイントに一つでも当てはまれば、会社に対して未払残業代を請求できる可能性が高いでしょう。

  • 1日8時間以上、1週間40時間以上働いているのに残業代が支給されていない。
  • 待機時間が労働時間にカウントされていない。
  • 実際に運転している時間しか労働時間にカウントされていない。
  • 歩合給制を理由に残業代が全く支給されていない。
  • 歩合給の中に残業代が含まれていると説明を受けたものの、歩合給の内訳が示されていない。

運送業・配送業の残業代請求には証拠収集が大切

運送業・配送業のドライバーが、会社に対して残業代を請求するには、残業の事実を証明する証拠を示して、会社を説得することが大切です。

残業に関する有力な証拠があれば、裁判になった場合にドライバーにとって有利に働きますから、会社としても早期に紛争を解決するため、残業代を任意に支払う可能性が高まります。

運送業・配送業のドライバーが集めやすい証拠とは?

運送業・配送業のドライバーの残業を証明する有力な証拠としては、以下のものが考えられます。

①デジタルタコグラフ

デジタルタコグラフには、運転している車の速度・走行時間・走行距離などが記録されています。ドライバーが実際に運転している時間については、もっとも客観的かつ強力な証拠となるでしょう。

②日報・週報などの業務報告書

ドライバーが自らの業務状況について記録する業務報告書も、残業に関する有力な証拠となります。特に待機時間など、実際に運転している以外の時間については、業務報告書の記載が決め手となって残業の事実が認定されることも多いです。

そのため、業務報告書を作成する際には、日々の労働状況を具体的かつ詳細に記録しておきましょう。

③ドライバー作成のメモなど

メモ書きなどについては、デジタルタコグラフや業務報告書ほど強い証拠力はありませんが、残業の事実の認定に当たって補助的に考慮される可能性があります。特に、長時間労働に対してドライバーが苦痛を感じた場合などには、その際の心情を日記などのメモに残しておくとよいでしょう。

残業代請求は当事務所にお任せください

運送業・配送業のドライバーは、労働環境の特殊性などが影響して、残業代が未払になっているケースが非常に多くなっています。

未払残業代が発生しているのではないかというご懸念をお持ちのドライバーの方は、一度当事務所にご相談ください。

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